随分とブログ・アップを怠っておりました。昨年冒頭に「カルロス・ゴーンの逃亡劇」と「イラン・米国の軍事衝突危機」をトップ・アイテムと取り上げて、2020年初頭はこれで世界が湧くと確信しながらも、傍ら、「中国武漢で俄かに囁かれた新型コロナウイルスのエピデミック(epidemic)」をおまけでブログ・アップした訳でありますが、図らずも、パンデミック(pandemic)による世界の変貌と混乱で終始するハメとなりました。

と、連日、コロナのニュースで、ほとほと、ウンザリしておりましたところ、「総合商社(General Trading Firm)」のニュースが出てきました。ここ暫く、あまり注目を浴びなかった対象ではありますが、何やら、ちょこちょこ話題になっているようであります。何せ、このコロナ禍で企業への期待感が大きく一変し、また、ワーク・シフトに関しても果して東京一極で、それらのプライオリティーへ如何なるメリットがあるのであろうか、という新鮮なオピニオンも生まれつつあります。(海外出張も出来ず、リモートで仕事するなら、商社なんてその存在と機能には全く意味がないと考える訳ではありますけど・・・)

そんなこんなで、近日、「伊藤忠商事」が「三菱商事」「三井物産」「住友商事」を抜いて、決算ベースでも企業評価ベースでも、また、就職希望先ベースでもトップに位置したというニュースに触れております。そもそも、前述の4社に「丸紅」を含め5大商社と現在は呼ばれております。6番目は「旧トーメン」を吸収した「豊田通商」が位置し、おそらく、その次には「旧ニチメン」と合併した「双日(旧日商岩井)」で7大商社、もしくは最後に「兼松」を入れて8大商社と呼ばれているのでしょうね。かつて名を馳せた「安宅産業」や「大倉商事」や「東食」は消えてしまいました。

と言うことで、「伊藤忠商事」に戻りますが、現会長兼CEO岡藤正広氏(1949年・昭和24年生)は10年前の2010年に大方の予想に反して同社社長に就任されました。当時は、正に、リーマン・ショックの直後で他商社は資源投資で大きな損失を余儀なくされていた訳であります。(私の推測ではありますが・・・)彼は、同社の基盤であった大阪の繊維業界で地道な経験を積み上げて来られたのでありましょう。商社の業界には「マルドメ(まるでドメスティク)」という言葉があり、これは「国内の商売ばかりで、一切国際的には使えない」ということを示し、もっとストレートに言えば「英語が使えない」との指摘となります。

彼がそうであったという訳ではありませんが、同じ商社の世界で生きてきた人間としては、その様な臭いを感じざるを得ません。その昔の商社は「口銭3%」の商売の世界でありました。つまり、100万円の売上で3万円の口銭を売り手もしくは買い手から戴くという構図ではありますが、例えば、鉄鋼製品のような場合は輸送費・在庫費用・立替金利等々を商社が負担する訳で、実商売では1%にも満たない利益となります。従って、取引金額が大きな鉄の商売などは、結局、1億円の商売でも100万円どころか数十万円を稼ぐ知恵と努力が必要となり、場合によってはコスト割れ(逆ザヤ商売)も覚悟せざるを得ません。

岡藤氏が長年経験された繊維の世界も同様で、元来、この国の繊維産業は鉄と同様に基幹産業との位置付けであった時期もあり、おそらく、彼も地道な商売の道を歩まれて来られたのでありましょう。近年の商社の「事業投資化(投資資本の10%以上のリターンを基準)」とは大きく反して、岡藤氏は「100万売って必死に1万円を稼ぐ」というようなかつて培ったポリシーで「伊藤忠商事」を立て直した実績が高く評価され、結果、「三菱商事」や「三井物産」を凌いで「伊藤忠商事」が今日トップになったのではないでしょうか。