近年、我々の周囲で盛んに言われる言葉「デジタル化 (digitization)」でありますが、私個人的にこの「デジタル(digital)」という言葉を初めて実体験したのは1970年代の時計であります。

本来、時計と言う物は短針と長針、または秒針というメカニカルな物が連続的な動作を示し、その変化による時の流れを読み取るという仕組みでありましたが、ある時、それらが数値表記によって「何時、何分、何秒」となった訳であります。

日本語で言う「デジタル」の英単語は「digit(ディジット)」であり、本来の意味は「数字の桁」を意味します。例えば、「下三桁」は「last triple digits」と表現します。

これに対して常に言われる対峙的言葉として「アナログ (analog)」があります。これは英単語の「analogy」から来ており、本来の意味は「類似品・相似類」となります。

近代世界で言われる「デジタル化」は、言わば、「数値化」という意味合いが前提で、誰しもが明確に判断できる指針として徴用され、これに反して「アナログ」と言う言葉が用いられております。「数値的な判断」が出来ない人、例えば、コンピューターが使えない人を「アナログ人間」と呼んだりしています。

そこで、私個人として考えると、「デジタル化」を推し進める現状で「アナログ」を非とする風潮は果たして如何なるものかと思わざるを得ないのであります。すべてを数値化して誰しもが判断できる世界が、果して、目指すべき社会であるのか、片や、「アナログの世界」は数値化出来ない類似品の中から真贋を見極める本来の能力を培うのではないかと考える訳であります。これこそが、これからの教育に不可欠ではないかと思う訳であります。

英単語の中で、同様な意味合いを持ったものがります。一つは「flexible(柔軟な)」であり、これに対して「legit(ちゃんとした)」という単語があります。例えば、精密機械のメモリ調整等で「カチ、カチと動く」動作がこの「legit」で、誰が行っても間違いのない世界です。片や、「達人の指先の微妙な調整」が必要な場合は「flexible」となります。

もう一つ、「pigeonhole(鳩の穴)」という英単語があります。これは、元々、コンピューター開発の中で、鳩の巣穴が個々の巣穴に鳩が巣くうことからコンピューター理論の「0,1、0,1、・・・」(整数化による選別ロジック)から生まれた考え方でありますが、このような単純かつ明快な表現を越えて、現在では、「棚上げ」という曖昧かつ使い勝手の良い政治用語として使われております。これは、正に、「デジタル化」から始まって、結局、「アナログの世界」への思考の変換とも言えます。

従いまして、何でもかんでも「デジタル化」を求める現在の社会にこそ、本来は、「アナログの世界」における判断の重要性とその能力が求められるのではないかと強く感じる訳であります。皆さまは、どの様にご理解されるのでしょう?「アナログ」こそが必要な時代にいるのではないでしょうか?

別に、SNSが使えないオヤジ達の味方をしている訳ではないのですが・・・