当教室で多くの生徒さんとレッスンを重ねる中で、英語表現を生徒さんに伝えると共に当方が気付かされることも多くあります。
殊更、日本人の皆さんが、普段、頻繁に使われる外来語としての英単語の本来の意味と日本語としての意味の乖離に多々出くわします。

今までも、ここで幾つか取り上げて参りましたが、日本人が使う外来語(一般にカタカナ表記語)が英語として通用しないという場面は多くあります。大きく分類して以下のようなものがあります。
1.英語発音と日本語発音が大きく異なる場合:
  これはよく言われる日本人には発音しにくい「L」「R」「C」「F」「P」「V」「Z」で
  始まる英単語に多いのです。
  日本人の発音で米国において最も通じにくい単語のベスト3は「coffee」「milk」
  「lemon」であります。
  「coffee」は、意外と思われる方も多いと思いますが、これは「C発音」と「K発音」
  の違いによるもので「coffee」は「C発音」です。
  片や「coke(cola)」は「K発音」で、コーヒーを頼んだつもりでコーラを出された
  経験を持つの方も多いと思います。
  もう一つ、「F発音」が影響する場合もあります。
  例えば、キャリア・バッグや空母を意味する「carrier(キャリア)」は「C発音」で、
  職歴や経歴を意味する「career(クウリア)」は「K発音」となります。加えて言えば、
  英国人が「I can(アイ・カン)」で米国人が「I can(アイ・キャン」のような
  感じですかね。
  「milk」と「lemon」は「L」と「R」の問題で、これも意外と思われるでしょうが、
  日本人にとっては「R発音」よりも「L発音」の方が難しいのです。

2.アクセントが異なる場合:
  代表的なものに「McDonalds’(マクドナルド)」があります。失礼な言い方ですが、
  日本人の9割が発音出来ないワードと思います。
  最初の「Mc」には何らアクセントは無く「Donald’s」の「o」にアクセントが来ます。
  生徒さんには「Mc」を「ミック」と発音するようにお伝えしております。
  もう一つ代表的なものは、「Mr. Smith」です。これも「i」にアクセントが来ないと
  全く通じません。
  前回取り上げました「大阪なおみ」さんですけど、これも「Osaka」「Oosaka」と
  「Ohsaka」ではアクセントの違いが生じて米国人には発音しづらいと考えられます。
  私は、上述のような特別なものを除いては、基本的にアクセントに関してはあまり
  意味のないものと考えます。
  日本の学校では「名前動後」なんてルールもありますが、ナンセンスですね。

3.英単語自身の意味を取り違えている場合:
  これが現在日本人の中で蔓延している状況であります。英単語の本来の意味を間違って、
  あるいは曲解して外来語として通用している現状があります。
  最初は「offer」です。多くの方が「仕事のオファ―がある」という表現をされて
  おりますが、国際ビジネス上では「offer」は「見積り」であります。
  「この仕事をやってもらえますか?」の最初のアクションは「inquiry(引合い)」で、
  これに対して「この条件でこのお値段でお願いします。」が「offer(見積り)」です。
  勿論、「offer」には「提出する、提案する」の意味はありますが、ビジネス上では
  必ず「inquiry」から始まります。

  次は、「リストラ」です。これは日本人にとって「首切り」を意味する代表的な
  ワードとなって久しいですが、本来の「restructure」から来ております。
  これは「再構築」を意味します。
  特段人事的な改革を意味するものではなく、機構的、組織的な再構築を意味します。
  片や、「リフォーム」は日本では住宅の改築や洋服の再製などに使われておりますが、
  「reform/reformation」こそが人事を含めた会社組織や機構の再構築を意味します。
  従って、通常日本人が使っている「我が家のリフォーム」や「服飾リフォーム」など
  は和製英語と言わざるを得ません。

このように、時として、生徒さんから「そうなんだ、全然知らなかった!」というリアクションを戴きながら、私たち日本人は多くの外来語を使っている中で、果たしてどれだけ理解しているのであろうと思う、今日この頃であります。

最後に皆さまに、敢えてお伝え致したい事、「英語は歴史的に、日本に最後に入って来た外国語」ということであります。
日本には5.6世紀に旧インド・中国等から漢字が伝来して以降、大凡千年間後の16世紀に鉄砲の伝来と共にポルトガル語が伝来し、その後、オランダ語やスペイン語、ロシア語、フランス語、ドイツ語等々がなだれ込んだ歴史であります。
英語を最初に話した日本の人物は「ジョン万次郎」とされており、正に幕末期で坂本竜馬と同じ時期でありました。
彼が日本人の農民に教えた最初の英語のフレーズが、「掘ったイモ、いじったな~(What time is it now?)」はあまりに有名です。
1853年の「黒船来航」で、米国人のペリー提督と幕府の交渉においても、唯一英語が話せるジョン万次郎が起用されることなく、オランダ語の通訳を介しての外交交渉となった訳で、もし米国に精通したジョン万次郎がペリーの前にいたらどうだったんだろう、なんて考えますね。